「オンボーディング」を導入するメリットと実施事例4選
1.オンボーディングとは
オンボーディングとは“船”に乗っていることを意味する「オンボード(on-board)」から派生した言葉で、新入社員が企業に順応しやすい制度を導入する取り組みのことを言います。
入社日の挨拶もそこそこに、短期間でしか研修・フォロー体制がないことが早期離職の要因になっているのではと考えられ、従来の集中的なオリエンテーションや研修とは別途で入社後の継続的なフォローを行うオンボーディングを設けている企業が昨今では増え続けています。
2.オンボーディングの効果
オンボーディングには、従業員の定着率UPの効果が臨めます。
例えば、採用面接だけで企業の全てを伝えるのは困難ですよね。入社後に関しても、企業の歴史や価値観を深く知ることなく現場に配属となるケースも多々あるため、帰属意識の低下から早期離職に繋がってしまう可能性も大いにあります。
そこで、研修とは別でオンボーディングを設けることで新入社員が企業理解を深めるきっかけとなり、従業員エンゲージメント(愛着度)の向上に繋がるため、自ずと生産性向上や顧客満足度向上の効果も期待ができます。
3.オンボーディングのプロセス制定について
①採用ターゲットの明確化
そもそもオンボーディングの施策を行う以前に現場の考え方と新入社員の人物像にミスマッチが生じては意味がありませんので、求人原稿で自社に合う採用ターゲットを取り込む必要性があります。
価値観や志向性など、既存で活躍している社員の傾向を定性的に分析し、原稿内に反映していきましょう。
②学びの体制の整備
新入社員は入社後に業務に必要な知識やスキル、企業文化など様々なことを容量多く学んでいくため、相互伝達がしやすい環境を構築していく必要があります。
コロナ渦において飲み会や社外イベントの自粛が叫ばれている昨今では業務外での交流は減少傾向にあるでしょうから、OJT、1on1制度、チャットツール、社内ポータルなどを充実させ、受け入れ環境を丁寧に整えていきましょう。
③目標の細分化
新入社員に企業の歴史や価値観を深く理解してもらうためには、予め教育担当者が新入社員に対して「いつまでにどのような人材になりたいのか」「いつまでにどのぐらいの数字を成し遂げるか」などの目標設定を行い、限られた時間の中で正確に企業のことを伝達する必要があります。
④プランの計画
研修を通して部署ごとのミッションや役割などを明確にし、1週間後、1ヶ月後、四半期後、半年後…など、具体的な期間を制定しながらプランを練り、実現に向けて動いていきましょう。
⑤実施・振り返り
プランが定まったら、実際にオンボーディングを実施します。
パイロット版で導入する際には、新入社員に不安を抱かせないためにも、教育制度の軌道作りの最中であることをしっかり伝達しましょう。
また、途中でできていることや改善点を個人で振り返る時間も設け、オンボーディングの対象者(新入社員)や現場の社員から意見を吸い上げることも重要です。
見えてきた課題を潰し、より良い形のオンボーディングを以後もループして導入することができれば企業にとって非常に有益な成功体験となります。
4.オンボーディングの施策事例
実施事例1:メルペイ株式会社
フリマアプリのメルカリ社のキャッシュレス事業領域として誕生したメルペイ社では、チームビルディング、経営陣とのウェルカムランチ、部活動、TGIF(花金)など、金融業界知識のインプット以外にも様々なオンボーディングを用意しています。
チャットツール上で同期グループを作ったりなど、コミュニケーションが生まれる仕組み作りを多々生み出しているようです。
実施事例2:LINE株式会社
多方面におけるサービスを展開しているLINE社では、中途で新しく加わった社員が会社の風土に馴染むために「LINE CARE」という自社サービスを導入しています。
チャット1本で「細かいルールが分からない…」「誰に聞けばいいのか分からない…」などの悩みを解決し、新入社員に対する入社後のフォローを丁寧に行っています。
実施事例3:日本オラクル株式会社
社員エンゲージメントを重要視する従業員300名の日本オラクル株式会社では、中途採用の社員に向けて経営理念や組織形態などの基礎研修をじっくり行い、OJTの段階でも業務の細かな部分をサポートする「ナビゲーター」や毎週1時間の面談時間を設ける「サクセスマネージャー」といった専任スタッフを配置し、独自のオンボーディングを取り入れています。
実施事例4:Facebook社
ソーシャルネットワークサービスを展開するFacebook社では、「Kahoot!」という教育用クイズゲームを活用し、オンボーディング期間にオフィスの使い方に関するクイズを作成して新入社員のインプットを楽しくサポートする制度を取り入れています。
5.オンボーディングを実施しましょう
実はアメリカの会社では新しい社員を迎え入れる際に「Welcome on board!(ご搭乗ありがとうございます=ようこそ我が社へ)」と発する文化が醸成されています。
オンボーディングが上手くいけば社員の定着率が上がり、離職防止にも繋がるため、採用コスト削減の効果も期待できます。それだけでなく、オンボーディングそのものが立派な福利厚生となり、会社のブランディング(認知)にも繋がっていくことが見込めるでしょう。
これを機に、自社におけるオンボーディングの作成や新入社員を受け入れる環境の整備をしてみてはいかがでしょうか。
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