『心理的安全性』の高いチームの作り方 ~Googleに習うチームの生産性を高める方法~

前回の記事では「心理的安全性」に関してご紹介させていただきました。
「心理的安全性」とはハーバード大学のエイミー エドモンソン教授が提唱した概念で、
その後、Googleが「生産性の高いチームをつくるために心理的安全性が最も重要である」
と発表して以来、世界中の企業から注目され、対策方法が求められるようになっています。

 
前回の記事はこちら
 
『心理的安全性』とは ~Googleが発表した効果的なチームとは何か~


今回はこの「心理的安全性」が現在の組織にどれだけ浸透しているかを計測するための方法と、
「心理的安全性」の高いチームの作り方に関してご紹介したいと思います。

 
1.心理的安全性の計測方法

心理的安全性を測定する方法として、エドモンソン教授が提唱した7つの質問があります。
その内容は以下の通りです。

①チームの中でミスをすると、批難されることが多い。 ②チームのメンバーは、難しい課題や問題を指摘し合える。 ③チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。 ④チームに対してリスクのある行動をしても安全である。 ⑤チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。 ⑥チームメンバーは誰も、あなたの努力を意図的に無下にするような行動をしない。 ⑦チームメンバーと仕事をするとき、あなたのスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。
参考)Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams
A Edmondson 1999
https://web.mit.edu/curhan/www/docs/Articles/15341_Readings/Group_Performance/Edmondson%20Psychological%20safety.pdf
 
①、③、⑤はネガティブな質問、②、④、⑥、⑦はポジティブな質問になり、
それぞれ「当てはまる」「どちらでもない」「当てはまらない」といった形で回答していきます。
この中でポジティブな回答が多ければ「心理的安全性の高いチーム」、
反対にネガティブな回答が多ければ「心理的安全性の低いチーム」であると判断することができます。

気になる方は実際に自分の所属する組織やチームのメンバー全員に回答してもらい、
現状の心理的安全性を把握するために活用してみてください。
ただし、正直な回答を引き出すためにも、
回答内容はプライバシーに配慮して丁寧に扱うようにしましょう。

 
2.心理的安全性の高いチームの作り方

ここからは心理的安全性が高いチームを作るためにできることをいくつかあげていきます。
それぞれ見ていく中で実践できそうな方法がありましたら積極的に取り入れてみてください。

①話しやすい雰囲気を作る 何か問題が起きたり、わからないことがでた時にすぐ質問や相談が出来る環境は、
心理的安全性を高める上でとても重要な要素です。

コミュニケーションを取るために雑談を持ち掛けてみたり、
困ったことが起きていないか積極的に声をかけたりすることで、
雰囲気が和らいで話しやすい環境を作ることができます。

また、その際は相手の目を見る、相槌を打つ、ポジティブに反応するなど、
相手の話にちゃんと耳を傾けている態度を示すことも重要です。

②業務以外でも会話する機会を作る 業務中のコミュニケーションは仕事の話がメインになりやすいため、
業務外の食事会・飲み会、イベントなども関係性の構築につながります。

仕事の中では見られない一面を見せあうことで意外な共通点が見つかったり、
職場では接点がなかったメンバー同士が打ち解けたりするかもしれません。

関係性が多元的に重なることで、これまでになかった新しいアプローチができるようになります。

ただし、ここで注意しておくべきことが一点あります。
それは「決して強制してはいけない」ということです。

アルコールが飲めない人、大勢で騒ぐことが苦手な人、家に早く帰らなければいけない人、
世の中には様々な価値観、体質や事情を持った人がいます。
そういったメンバーに向けては少人数でランチにいってみたり、
社内のサークル活動で共通の趣味を一緒に行ってみたりと、
多様性を尊敬し、個人の考え方に配慮した接し方を選ぶことが求められます。

参加を強制にしてしまったり、評価基準に加えたりしてしまうと、
会社組織自体にネガティブな印象を持ってしまう危険性もあるので注意しましょう。

③発言する機会を均等にもてるようにする 誰もが自由に平等に発言することができる環境も、心理的安全性を高めるためには大切です。
司会進行のやり方や会議の方法を工夫し、
会議や方針決定の場で全員が発言できるよう配慮することが求められます。

一見風通しのいい環境に思えても、よく見ると一部のメンバーからしか意見があがっていない。
という状況は珍しくありません。
年次や役職などを考慮し、発言がしづらい社員にも積極的に意見を聞く場を設け、
会議や会社の運営に参加しているという主体者意識を感じてもらえるように心掛けましょう。

④相手への感謝の気持ちを持ち、姿勢で示す
仕事は一人でするものではなく、多くの人が協力しながら初めて成立するものです。
一緒に仕事をするメンバー一人ひとりに感謝の気持ちを持つということは、
当然、心理的安全性の向上に直接関わってきます。
何かをしてもらったときに感謝の言葉を伝えるというだけで、やりがいは変わっていきますし、
「チームに貢献できている、必要とされている」という実感を持ってもらうこともできます。

例えば、Google社ではピアボーナス制度という
社員同士が報酬(ポイントなど)を送り合える成果制度を導入しています。
貢献した人や成果を出した人に対し、感謝の気持ちとしてメンバー同士が報酬を送り合います。
こうした制度の導入もチームのメンバー同士が感謝し合い尊敬し合う文化を促す取り組みのひとつです。

相手に感謝と尊重する気持ちを大切にし、
きちんと姿勢で示すことでチームの雰囲気も良くなっていきます。

⑤サポート制度を導入する
新入社員などの立場が弱くなりやすいメンバーをサポートする制度の確立も効果的です。
こちらもGoogle社ではマネージャーは全てのチームメンバーと
2週間に1度の頻度で1on1ミーティングを実施することがルール化されています。
また、本音を引き出すために、あえて別部署の先輩社員がサポートするメンター制度を導入している企業なども多くあります。
対話を通じてメンバーから率直な意見を聞き、フィードバックすることで、
メンバーの成長やモチベーションの向上につなげる効果が期待できます。

重要なことは「社内に味方がいる」ということをわかってもらうことです。
各メンバーの様々な価値観を認めること、相手に受け入れられてると実感してもらうことで、
心理的安全性を高めることが出来ます。

 
 



いかがでしたでしょうか。

最後に、心理的安全性を高めるということは、
緊張感の全くない「馴れ合いの関係」をつくることでは決してありません。
心理的安全性が高いチームというのは、
メンバー全員が気兼ねなく議論や意見交換を行うことができる状態です。

上司が部下に対して指示や注意をしなくていいわけではありませんし、
ましてや仕事に手を抜いていいわけでもありません。

こういった点に注意しながら、メンバーそれぞれが思ったことをはっきりといえる、
全員同じポジティブな感情を持てている組織環境を作りましょう。

 
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