退職者をどう減らす?企業がアプローチすべき退職者のホンネとは!?
日本の人手不足は加速を続けており、”人手不足倒産”する企業数は年々過去最多を更新しています。
コロナウイルスの影響による業績悪化も重なり、企業経営はさらに厳しい状況に追い込まれています。
各企業では、RPOによる業務の自動化や外国人技能実習生の採用、アウトソーシングなど、様々な手法で人手不足を補おうと奮闘されていることかと思います。
そんな中、企業にとって最も痛手となる要因は「退職による人材の流出」といっても過言ではありません。
手塩にかけた優秀な人材が退職してしまうことは、企業経営とって多大なリスクとなります。採用や教育にかかるコストも含めると多大な損失でもあります。
社内で重宝される優秀な人材ほど、他社にとっても魅力的な人材であることは明白です。
また、そういった優秀なビジネスパーソンほどコミュニケーション能力が高く、退職にあたって「立つ鳥跡を濁さず」で当たり障りなく退職してしまうケースがほとんどです。
退職前の面談ではうまくはぐらかされ、円満退職となった後は連絡が取れず、結果として企業には「なぜあの人がやめたのか?」という疑問だけが残ることとなります。
そういったことを繰り返しながら、会社としての損失を改善できないような事態に陥っていないでしょうか?
今回はなかなかアプローチできない、「退職者のホンネ」を探っていきたいと思います。
1.なぜ退職をするのか
昭和の時代より日本は終身雇用制度の名のもと、長く勤めあげることが美徳とされていた時代が続きました。
企業としても新卒から退職まで、社員の一生を背負うような形で制度を構築していましたが、
バブル崩壊に伴って終身雇用制度を保てない企業が続出しました。
不況のあおりを受け、派遣社員やフリーターなど働き方の多様性が広がり、正社員も1社でキャリアを終える時代は徐々に終焉を迎え、
よりよい待遇や、正当な評価やスキルを活かせる環境を求めて、転職するという選択肢が一般的になっています。
2.退職の理由
https://doda.jp/guide/naiteitaisyoku/taisyokuriyu/
こちらのアンケート結果からわかるように、退職者は退職理由をありのまま伝えているわけではないことがわかります。
退職理由の上位にいる「評価制度に対する不満」や「人間関係に対する不満」は、上司に伝えた理由では順位を下げています。
つまり、退職するにあたって、円満退職するためにはこういった内容は伝えないほうが得策であると判断して、伝えていないケースがあるということです。
会社や上司からの引留めを受けないために、納得してもらいやすい理由を選択して伝えている可能性もあります。
「給料・収入アップ」「労働時間の短縮」などは、なかなか改善することが出来ないため、上司も納得しやすいと判断していると考えてもいいかもしれません。
また、ネガティブな理由よりもポジティブな理由のほうが納得してもらいやすい傾向があるようです。
例えば「実現したい夢がある」「やりたいことが見つかった」と言われれば、応援してあげたい気持ちになりますよね。
そういった理由を積み重ねることで、退職者は「退職理由のホンネ」をオブラートにつつみ、
会社も上司も本人も傷つかない選択肢をとることとなります。
3.退職を決意するには
ほとんどの人は、一つの出来事で退職を決意するわけではありません。
仕事の中で様々な不満の種を抱え、その種が大きく育ち、自身で処理できなくなったり、別の新しい道を見つけた時に退職を決意します。
しかし、様々な不満を抱えながらも、退職を決意せず長く続けようと我慢や努力を続ける方もいらっしゃいます。
転職・退職に対しての価値観の違いももちろんありますが、転職・退職は非常に労力を使う行為ですので勇気が必要です。
転職先では新たに1から人間関係を構築しなければなりませんし、ジョブチェンジであれば仕事も1から覚える必要があります。
もちろん、残された人に仕事を引き継ぐため、迷惑をかけることも考える必要があります。
様々な事を天秤にかけて、そのうえで退職というアクションに踏み切ります。
退職する人とそうでない人とはどういった違いがあるのでしょう?
A.自己評価が高い
自己評価が高い人は転職後も活躍できるビジョンが明確に見えています。
通常、人が退職前にためらうポイントも、次への希望が大きければ大きいほど容易に超えて退職というアクションに結びつきます。
B.生活に余裕がある
大半の人は生活のために仕事をしています。ひとり暮らしや家庭を持っている方は自分の収入がなくなってしまうと生活できないため、
ある程度の不満であれば飲み込んで仕事を続けるか、次の転職先がみつかるまで退職を決意しません。しかし、近年は親と同居している人も増え、一時的であれば無収入状態になっても大丈夫な状況の方も多くいます。
そういった方は比較的容易に退職というアクションに踏み切れるようです。
C.愛社精神が強い
「愛社精神が強い」のであればやめる必要がないと思うかもしれませんが、気持ちが強ければ強いほど想いが裏返った時に失望が大きくなります。些細な価値観の違いから歯車が掛け違え、会社に対しての想いにすれ違いが生じると退社につながります。
D.追い込まれる
この理由がもっとも退職では多いのではないでしょうか?
「成績が上がらず職場に居場所がない」「精神的に病んでしまって出社できない」「人間関係のトラブルでどうしようも出来ない」など、様々な理由で致し方なく退職を選択するケースです。
「改善できれば」という思いはあるが、本人も発信できないし、だれもその想いを吸い上げることが出来ず、精神的・身体的にダメージを受けてしまいます。
4.不満の吸い上げの重要性
多くの経営者は愚痴や不満を嫌います。なぜなら愚痴や不満は、直接的な経営者への批判と捉えられるからです。そしてそれを改善するにはコストや経営への不利益が発生すると考えるからです。
また、愚痴や不満を言う人の多くは、言うだけで自身で改善しようとはせず、与えられる環境になることを待つのみだからです。
経営者はそういった「生産性のない愚痴や不満」を嫌っています。
しかしながら、愚痴や不満が産まれない会社はありません。
そして、愚痴や不満は企業にとって多くの”伸びしろ”を秘めています。
小さな愚痴・不満を早めに吸い上げて、生産性のあるものに変えていくことによって、
優秀な人材の流出を防ぎ、不要なコストの削減・リスクヘッジが可能となります。
5.社内での愚痴・不満の吸い上げの難しさ
多くの人事担当者は、離職対策として、上長による面談や人事担当による面談、アンケートなど様々な手段でアプローチしていると思います。
しかしながら、上記でも述べたように、個人が特定される環境や既存の人間関係があるなかで、果たしてどの程度「正直なホンネ」が出てくるでしょうか。
例え「正直なホンネ」が抽出できたとして、どれだけの部分を経営者にぶつけることが出来るでしょうか。
人事担当ですら経営者に気を遣って本当のことが伝えられないケースも多々あるのではないでしょうか。
6.社外リソースを使ったヒアリング・フィードバックの有効性
弊社では、上述の課題を解決する施策として『いっと』という “退職者インタビュー代行サービス” を展開いたしております。
https://exit-interview.biz/
第三者である弊社の専門カウンセラーにより、退職に至った “ホンネ” を引き出し、
“ホンネ” から見えてくる問題の本質を、企業へレポートとともに、ご報告いたしております。
“ホンネ” を知ることで得る事ができる情報は、離職率改善以外にも、採用ターゲットの見直しや
組織改善に役立てる『リアルな意見/思考』となる為、現在は既存従業員へのインタビュー代行もご依頼頂くことが御座います。
如何でしたでしょうか。
“採用数を増やす事” に対して予算を使う事は、ほぼ全ての企業が試行錯誤を繰り返しておりますが、
“採用数を減らす事” に着眼される企業は、まだまだ少なく、盲点となっております。
一度内部に目を向ける事で、健全で効率的な採用活動を行うという視点もある為、
ご興味お持ち頂けました際は、是非弊社へお声かけくださいませ。