さようなら…すべての紙媒体
※本記事はシン・エヴァンゲリオンとは一切関係ございません。
ネットが世の中に浸透し、ほとんどのものがネットを通して手に入る時代になりました。
ネットの普及で我々の生活は非常に便利になりましたが、反対にネットの普及によって窮地に立たされている業界も多々あります。
そんな中、出版業界は特に影響を受けた業界のひとつではないでしょうか。
全ての情報がスマートフォン1台で手に入れられる時代において、雑誌や新聞などの紙媒体の需要は急激に低下しています。
しかしながら求人広告においては、まだまだ紙媒体に対しての根強いニーズがあります。
今回は、そんな求人広告における紙媒体とどう向き合っていくかを考えてみようと思います。
1.具体的に紙媒体とは?
紙媒体というと、一般的な言葉としては”紙に印刷されたもの。 新聞や雑誌、書籍など。 “ですが、
求人広告においては、主に以下の4つが中心です。
“新聞広告” “無料求人誌(フリーペーパー)”
“有料求人誌” “新聞折込・ポスティングチラシ”
みなさんも、普段の生活を通していずれかは目にしたことはあるのではないでしょうか。
しかし、恐らく年代によってどの媒体を目にしているか・その頻度については大きく差があるのではないでしょうか?
簡単にですが、それぞれの特徴を以下の表でまとめてみました。
上記、表にまとめたように、幅広いお声をいただく中で、基本的には紙媒体に対してネガティブな意見が多いのが実状です。
しかしながら、一定の企業ではまだまだ根強い紙媒体へのニーズがあります。
なぜ、ほとんどの人がスマートフォンを持つこの時代に、紙媒体への根強いニーズがあるのでしょうか?
2.紙媒体を利用するメリット・デメリット
ここでは、紙媒体を利用するメリット・デメリットをまとめてみました。
◇紙媒体を利用するメリット
①信頼感がある
新聞の求人広告など、信頼できる発行元が掲載している情報だと、なんとなく信頼性が高い気がしてしまうのではないでしょうか。
紙面で発表してしまうと修正できないことから、しっかりと校閲されたうえで出された情報のため、確かに誤りが少ないという意味では、信頼感のある情報ではあると思います。
②視認性が高い
スマホやPCでは、求職者が能動的に検索を行って求人までたどりつく必要があります。
紙では一覧に表示されている中から、求職者が気になるものをすぐにピックアップして確認できますので、写真やイラストなど、インパクトがあれば見てもらえる可能性は高いかもしれません。
③ネット求人よりも手間がかからない
ネット求人は、様々な項目を設定する必要があり、扱える文字数やキャッチコピーの数が多く、担当者を悩ませます。
それに比べて紙媒体は非常に簡素な情報のみで掲載が可能です。
担当者が掲載までにやらなければならないことが、大幅に少なくなります。
④過疎地などネットではアプローチ出来ない層にアプローチできる
ネットの求人は全国に掲載され、検索が容易にできるため、条件がいい求人に応募が流れる傾向が強いです。
地元の人にアプローチしたくても、条件がよくない求人は発見してもらうことすら難しい状況です。
紙であれば、ネットでは探せない求人も、何かの機会で見つけてもらえる可能性があります。
⑤掲載しているものが手元に届く
ネットの求人は入稿してしまえば、担当者の知らないうちに掲載され、期間が終われば自動的に終了します。
それに対して、紙であれば手元に届きいつまでも残ります。
この「作ったものが手元に残る喜び」や「掲載をしている感じ」が強く印象として残ります。
◇紙媒体のデメリット
①時間的な制約
原稿の入稿から印刷、運送など物理的な時間が必ずかかってしまいますので、締切りなどの制約がネットに比べて厳しいです。
また世に出てから、手元に届いて応募などの効果につながるまでの時間が長いこともデメリットかもしれません。
②修正が難しい
一度世に出回ってしまうと修正が出来ません。
何度も校閲していても抜け漏れは100%防ぐことはできません。
誤った求人情報が出てしまい、全く応募が来ないならまだしも、誤った情報によってクレームに繋がり、採用担当者がクレーム対応にかかりっきりになってしまったというケースもあります。
損失は掲載費にとどまらないでしょう。
③効果測定が難しい
紙媒体は、応募が来て初めて効果があったかどうかが判明します。
どれだけ手に取られているのか?実際に閲覧されているのか?どうすれば効果が改善するのか?などの材料となる情報がありません。
ポスティングなどであれば、そもそもちゃんと配られているのかも不明瞭ですね。
④掲載期間が短い
新聞は1日、求人誌では配布している1週間程度でしょう。
その間に応募がなければ、もう一度・・・と繰り返し採用できるまで出し続ける必要があります。
⑤手に取る人が少ない
前項でも挙げられた通り、新聞の契約者数は減少していますし、有料求人誌の多くは廃刊に追い込まれています。
無料求人誌においても、少しずつ発行部数が減少していたり、設置個所が無くなったりと縮小傾向にあります。
若い世代はネットでの検索が当たり前で、紙で求人を探すという考えが無い人も多いかもしれません。
このように、ネット求人にはないよさが紙媒体にはあり、ネットではカバーできない部分を紙媒体でチャレンジしてみる価値はありそうです。
3.今後の紙媒体の動向
しかしながら、それでも紙媒体は確実に縮小傾向にあります。
要因としては、求人媒体側としても効果をしっかりと企業に還元できなくなっていることが一番だと思われます。
紙媒体が活躍できるようなニッチなニーズを拾い上げながら、企業として効果と利益を共存させることは難しいのでしょう。
また、SDGsなどサステナブルな社会を実現する中で、紙資源についても削減がうたわれています。
社会的にも、これからの地球のことを考えると、紙媒体は削減する方向で進むと考えられます。
早々に、紙媒体の割合を減らし、採用手法をネット中心に変革することで、これからの採用市場に適合していく必要があることは明白です。
4.なぜ紙媒体を使い続ける必要があるのか
多くの企業がネット媒体を中心に採用を行っており、WEB広告やSNSの活用にも力を入れ、
様々なHRサービスを駆使している昨今の採用市場の中、紙媒体を中心に採用している企業にはどんな理由があるのでしょうか。
ここでは弊社に寄せられたいくつかの声を紹介したいと思います。
①ネットでの求人もやってみたが、効果がでなかった
1番多く寄せられる声としては、効果に対する疑問点です。
長年紙媒体での募集を行ってきた企業に多いのですが、これまでの紙媒体で採用してきた経験・ノウハウが積み重なっており、ネットでの採用の数例と過去の成功体験を比較してしまいます。
こういったケースでは、採用の見える化が出来ていないまま、採用担当者の感覚値のみで採用手法を決定していることがほとんどです。
実際に、切り替えて数値化してみると、紙の方が採用単価が悪かったという事も多々あります。
②このエリアは、特定の媒体しか応募が来ないから・・・ 過疎地での応募や、就業地までの通勤の特性上、限定的なエリアでの募集で、ネットでは見つけてもらえないといったケースです。
このケースでは、確かに特定のエリアに強みを持っている求人媒体があり、一般的なネット求人では太刀打ちできないこともあります。
こういった、差別化ができていて、募集が十分に集まっている企業については、改善する必要はないかと思います。
③採用のターゲットは高齢者なので、紙のほうが高齢者には効果的なんです 「60歳以上の定年退職された方など、高齢者をターゲットとした募集なので、高齢者の方はネットではなく紙で仕事を探しているはずで、ネットなんて使わないし分からないだろう。」といった声をいただいたこともございます。
紙媒体が最盛期であった20~30年前は、確かに高齢の方がインターネットを利用することは難しい時代ではありました。
しかしながら、2020年の調査では60~79歳の77%がスマートフォン保有者であるという調査もあります。高齢の方にとっても、今はスマートフォンを使用して情報を収集することが当たり前の時代になってきています。
当時、働き盛りの時にインターネットが導入された世代の方々が、今60~70代となりスマートフォンを使いこなしているのです。
もう”高齢の方にはネットは難しい時代”ではないのです。
④ネットの求人だと周りが納得してくれない
とある作業所の話だそうですが、作業所の所長が人員不足のためネット求人を出したところ、部下の方々から次々とネット求人に対しての不満が出たそうです。
「こんな地域だとネットなんか誰も見ない」「金の無駄遣いだ」「人が来ないから自分たちが苦しい思いをしている」「ネットだとちゃんと掲載されているか分からない」などなど・・・
仕方なく紙媒体に出して、掲載されている原稿を見せて「ちゃんとこうやって掲載している。でも応募が来ないから仕方ないですよね?」と納得させないといけないそうです。
なんとも本末転倒な話ですが、イレギュラーなケースであると願いたいです。実際に、その作業所ではほとんど応募がない紙媒体を使い続けているようです。
5.紙媒体に頼らない採用を行うためには
これまでお伝えした内容から、紙媒体には一定の強みがあることは明白ではありますが、その強みは非常に限定的であり、多くの企業には当てはまらないことがわかります。
やはり、今後は紙媒体に頼らない採用を行う必要があります。
そのために企業が対応すべきことをまとめてみました。
①ネット求人で検索してもらえるような、魅力的な会社づくり
メリットデメリットでもお伝えした通り、ネット求人では簡単に求職者が希望する条件を絞り込みできるため、比較的条件のいい求人に応募が集まる傾向にあることは間違いありません。
ただ、すべての人が定量的にいい条件の求人を希望しているわけではなく、志向にあった社風など、定性的な情報で判断する方も多くいらっしゃいます。
欲しい人材のペルソナを考え、どういった会社であれば希望する人材が応募してくれるかを、改めて一度考えてみてはいかがでしょうか。
いろいろな角度から見てみると、意外な自社の魅力が打ち出せるかもしれません。
②ハローワークの活用
とはいえ、前項の2でお伝えした通り、エリア的に採用が難しい場所はたくさんあると思います。
そこで重要になってくるのはハローワークです。
地域に根差した雇用の支援を無償で行ってくれますので、活用しない手はないですよね!
現在は求人票のネット公開もあり、地元だけでなく幅広い地域での募集も可能です。
転勤に伴う費用などを負担したり、求職者が移動しやすい条件を付けてあげるだけで効果も変わります。
自治体によっては就職に伴う転入費用に助成金がおりるケースもありますので、地域の助成金制度なども調べてみてはいかがでしょうか?
③全社的な採用推進の流れを作る 採用手法は、営業所の担当者が一任されているケース、本社の人事担当が一括採用しているケース、選考フローをしっかりと準備しているケースなど、企業規模や業態によって異なります。
採用手法を見直してみて、どこに改善点があるのかを洗い出してみると、意外なところに問題が隠れているかもしれません。
ふと振り返ってみると非効率な採用手法を取り続けている例も少なくありません。
これまでの考え方・やり方も大事にしながら改革に向けて旗振りを行うためには、上役の理解と担当者の率先垂範の姿勢が重要になってきます。
全社的に人を採用するために行動している雰囲気を作ることが何よりも大事だと考えます。
いかがでしたでしょうか。
紙媒体に注目してお伝えしてまいりましたが、ネットを使っている企業においても、
同じような状態に陥っているなんてケースもあるのではないでしょうか。
フォロアスでは、紙媒体からうまく移行できたケースもですが、逆に移行できなかったケースについてもノウハウを有しております。
そういった成功・失敗体験を通して培ったノウハウや、様々なサービスを通して、企業の採用に関わる全てをご支援させていただいております。
企業によって抱える課題は様々あると思いますが、フェーズに合わせたご提案が可能ですので、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。